原色の外壁、波打つ床、球体の部屋。東京・三鷹の住宅街に、明らかに"ふつうの家"ではない集合住宅があります。芸術家・建築家の荒川修作とマドリン・ギンズが「死なないための住宅」をコンセプトに設計した、世界で初めての住宅作品です。実際に見学会に参加してきたので、体験と、訪れる前に知っておきたい実用情報をまとめます。
この記事について(筆者・取材の経験)
運営:Giropponando(ジロッポナンド)— 東京在住の日欧カップルが、ヨーロッパから訪れる旅行者に向けて「実際に足を運んだ場所」だけを紹介する旅・暮らしメディアです。
本記事は、筆者が実際に見学会へ参加した体験(一次情報)にもとづき、料金・予約・アクセスなどの事実は運営元の公式サイトで確認して記載しています。
訪問:2026年9月6日 / 情報の最終確認:2026年9月(料金・開催日などは変更されることがあります。予約前に公式サイトで最新情報をご確認ください)
01 — 建物
どんな場所? ―「住むためのアート」
三鷹天命反転住宅(正式名称:三鷹天命反転住宅 イン メモリー オブ ヘレン・ケラー)は、2005年に完成した集合住宅です。設計は、ニューヨークを拠点に活動した荒川修作とマドリン・ギンズ。岐阜の「養老天命反転地」を手がけた二人と言えば、ピンと来る方もいるかもしれません。
特徴は、なんといってもその空間です。でこぼこと波打つ床、球体やチューブ状にくり抜かれた部屋、原色で塗り分けられた壁、あちこちに立つ柱やフック。快適さや効率とは正反対の、身体をつねに意識させる仕掛けが家じゅうに散りばめられています。
02 — コンセプト
「死なないための住宅」というコンセプト
荒川+ギンズが掲げたのは、天命反転(Reversible Destiny)=「人はいずれ死ぬ」という宿命に、建築を通してあらがうという壮大なアイデアです。あえて身体に負荷をかけ、住む人の感覚や運動能力を呼び覚ますことで、生き生きとした状態を保とうとする — それがこの家の狙いです。
二人は「この作品(住宅)は、人が住んで初めて完成する」と言い残しています。つまり暮らす人・訪れる人の身体があって初めて成立する、参加型の芸術作品なのです。完成から20年が過ぎたいまも、建築とアートの両方の文脈で語られ続けています。
03 — 体験
実際に訪れて感じたこと
見学会は学芸担当のスタッフが案内してくれる形式で、所要は約1時間30分。コンセプトや荒川+ギンズについての解説を聞きながら、普段は入れない住宅内部を実際に歩いて体験できます。
正直に言うと、まず面白かったのは「こんなところに、実際に人が住んでいるのか」という驚きでした。哲学と芸術が、住まいという毎日の生活のなかに組み込まれている — その発想そのものが刺激的です。展示のためのアートではなく、人が寝起きし暮らす場所としてこのコンセプトが成立している、という事実にいちばん心を動かされました。
床は全体がゆるやかに波打ち、平らな場所がほとんどありません。原色で塗り分けられた壁や柱に囲まれると、写真で見る以上に感覚が刺激されます。ただ、こうした一つひとつの仕掛けの意味は、外から眺めるだけではなかなか伝わりません。だからこそ、見学会に参加して解説を聞くのがおすすめです。歩きながら説明を受けると、「死なないための住宅」というコンセプトの全体像がストンと腑に落ちて、一気に面白くなります。
もっと"体感"したい人へ:宿泊という選択肢
この住宅は3泊4日から泊まれるショートステイもあります。部屋は「気配コーディネーティングの部屋」(4名まで)と「極限で似るものの部屋」(2名まで)の2タイプ。荒川+ギンズいわく"住んで初めて完成する"家なので、時間をかけて過ごすほど発見があります。ほかの住人が実際に暮らす集合住宅なので、利用条件は必ず公式サイトで確認してください。
正直な注意点(トラブルを避けるために)
勝手に入れません。 実際に人が住む集合住宅なので、敷地内への無断立ち入りは不可。見学は「見学会」またはプライベートツアーの予約制です。外観を眺めるだけでも、住人への配慮が必要です。
"ふらっと立ち寄る"場所ではありません。 公式が案内しているのはJR中央線「武蔵境」駅南口からのバスまたはタクシー。バスなら[境91]狛江駅行・[吉01]吉祥寺駅行で「大沢」下車(約8分)、三鷹駅南口からは[鷹51][鷹52]で「大沢十字路」下車(約17分)です。
身体を使う体験です。 床が不安定なので、歩きやすい靴で。足腰に不安がある方や小さなお子さん連れは、無理のない範囲で。コース2「建築する身体の見学会」は小学生以上が対象です。
見学枠は埋まりやすい。 開催日が限られ、事前予約制です。日程が出たら早めの予約を。
基本情報
| 正式名称 | 三鷹天命反転住宅 イン メモリー オブ ヘレン・ケラー(Reversible Destiny Lofts — Mitaka) |
|---|---|
| 設計 | 荒川修作+マドリン・ギンズ(2005年完成) |
| 所在地 | 〒181-0015 東京都三鷹市大沢2-2-8 |
| 見学会 | 事前予約制/所要約1時間30分/コース1「学芸担当者による建物見学会」(全年齢対象)・コース2「建築する身体の見学会」(小学生以上) |
| 見学料金 | 大人 ¥3,000、小・中・高校生 ¥1,200、幼稚園以下 無料(2025年7月改定)※三鷹市在住・在学・在勤は500円割引(要身分証明書) |
| 宿泊 | ショートステイ(3泊4日〜/「気配コーディネーティングの部屋」4名まで・「極限で似るものの部屋」2名まで) |
| アクセス | JR中央線「武蔵境」駅南口からバスまたはタクシー。バスは[境91][吉01]で「大沢」下車 約8分 |
| 予約・問合せ | 公式サイトの申込フォーム/info@rdloftsmitaka.com |
| 公式サイト | rdloftsmitaka.com |
こんな人におすすめ
- 建築・現代アートが好きで、"見る"より"体験する"のが好きな人
- 東京の定番観光に飽きて、忘れられない一日がほしい人
- カップルや友人と、少し変わった時間を共有したい人(宿泊もおすすめ)
逆に、静かに快適に過ごしたい人や、移動のしやすさを最優先する人には向きません。
よくある質問
Q. 予約なしで見学できますか?
A. できません。実際に人が住む集合住宅のため、見学は予約制の見学会またはプライベートツアーのみです。
Q. 料金はいくらですか?
A. 見学会は大人¥3,000、小・中・高校生¥1,200、幼稚園以下無料(2025年7月改定)。三鷹市在住・在学・在勤の方は500円割引で、身分証明書の持参が必要です。
Q. 泊まれますか?
A. はい。3泊4日からのショートステイがあります。部屋は2タイプで、定員は4名までと2名までです。
Q. 子ども連れでも大丈夫ですか?
A. コース1「学芸担当者による建物見学会」は全年齢が対象です。ただし床が不安定なので足元にご注意を。ワークショップ形式のコース2は小学生以上が対象です。
Q. 写真は撮れますか?
A. 公式サイトに撮影可否の明記はありません。当日スタッフの案内に従ってください。
出典・参考
- 三鷹天命反転住宅 公式サイト: https://www.rdloftsmitaka.com/
- 見学会(料金・所要時間・コース・割引): https://www.rdloftsmitaka.com/tour/
- アクセス(最寄り駅・バス路線): https://www.rdloftsmitaka.com/access/
※ 料金・開催日・利用条件は変更されることがあります。予約前に公式サイトで最新情報をご確認ください。本記事の体験部分は筆者自身の訪問にもとづく一次情報です。変更に気づいた際は随時更新します。
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